「戦後五十年の生き証人」が語る10
【田原】ところで、普通の会社では、名誉会長は文字どおり名誉職です。創価学会名誉会長とは、どんな役割なんですか。
【池田】名誉職でないことだけは事実です。会則の第2章に「名誉会長を置くことができる」とあります。その役目として「信心指導」「布教」「会員の擁護・育成」が含まれています。仏法者であるから、役職にかかわらず信仰し、布教しなければならない。仏法を実践することこそが根本であって、役職は手段です。
【田原】会長と名誉会長とは、どう違うんですか。
【池田】会長、理事長の役割は、創価学会じたいの統括ならびに運営です。私はインターナショナルの会長ですから、日本も含めて全世界の会員の指導・育成・布教、全般にわたるわけです。
【田原】創価学会の基本方針は、名誉会長が決めるんですか。会長が決めるんですか。
【池田】会長です。会長中心の中央会議や総務会です。
【田原】会長の決めた方針を、池田さんが「違うな」と思った場合はどうしますか。
【池田】そのときには話し合います。一つの明確なる目標に進んでいれば、話し合っていけばわかりあうものです。
【田原】世間では、池田さんは創価学会のカリスマ的独裁者だと言われてますね。
【池田】ああ、そうですか。
【田原】ご自身でも、カリスマ的存在だと思いますか。
【田原】しかし、会員の方は、会合などでも、会長より、名誉会長にきてほしい、という声が多いのではないですか。
【池田】そうでしょうか。ともかく、人々は、役職ではなく、誠実さ、明快さ、責任感をもった人格的魅力のある人についていくものです。いわゆる人気のある幹部は、会員から慕われ、会合にも要請されています。戸田会長は、幹部を任命するときは、会員が「この人ならば」と思う人を任命するようにすべきだと厳しくいわれていた。たとえ選挙で選んでも、この人が選ばれるという人々を任命すべきである、と。
団結が強いので、たまに「全体主義だ」なんていわれることがあったが、この人間の社会はそんな単純なものではない。いわんや何百万の人間の集合体です。それぞれの意見もあり、個性も違う。簡単に従ってくるものではない。しかし、団結は他のいかなる団体でも、会社でも、願望しているのではないでしょうか。