「戦後五十年の生き証人」が語る14
【田原】ところで公明党が新進党に参加しました。ただし、参加したのは衆議院と改選される参議院の人たちです。参議院の非改選議員は「公明」として残り、参加しなかった。これは、公明党が二つに割れたということで、「創価学会は、新進党と自民党の二股をかけた」という評論が多いのですが。
【池田】とんでもない。まったく関係ありません。大変な迷惑です。
【田原】なぜ分かれたんですか。
【池田】党の幹部に聞いてもらいたい。
【田原】創価学会の名誉会長たる池田さんは、どういう感想をもっていますか。
【池田】私は、イエスもノーも言わない。皆が立派に成長すれば、親元から巣立っていくものです。自由勝手にやっていいと思います。
【田原】私は新進党に入るよりも、公明党を解党したほうがいいように思いますが。
【池田】そういう問題を論じられるようになれば、私だって気が楽ですよ。議員を出したばっかりに、「政教一致だ」とか、「権力を使って布教している」だとか、わが清純な創価学会が罵倒されている。私は自分でも大ばかだと思います。しかし、私は会員を風雪から守る屋根だと思っている。これが、会長就任時からの信条です。たしかに、本当は公明党がなかったらならば楽であったに違いない。
【田原】公明党さえなければ、池田さんが攻撃されることもない。創価学会批判も公明党があって、政権に参加したり、新進党とくっつくから出てくる。解党してしまえば、批判も出てこない。
【池田】そのとおりです。だが、私が発言すれば、すぐに「政教一致」と大騒ぎになることは明白です。
【田原】解党すれば布教もしやすい、と。
【池田】しかし、そんな後ろ向きの議論をしても仕方ない。だから、論ずる必要もないし、時代の流れにそっていけばいいと思う。あとは、党が党として、どう舵をとるか、です。
【田原】ところで、新進党の小沢一朗代議士に会ったことはありますか。
【池田】ありません。
【田原】小沢氏をどう評価していますか。
【池田】牧口初代会長の遺言に、「認識せずして評価するな」という一節があります。会いもしないで軽々と論ずることは失礼ですし、噂や風評で人を判断することは危険だ、ということです。しいていうならば、人心の機微のわかる、和を重んじる政治家であっていただきたいですね。