「池田大作という人 あとがき」3
そこで、最後にとっておきのエピソードをひとつ。
北海道のさいはてに、風蓮湖というさびしい湖があります。毎年、冬になると、シベリアから白鳥の群れが渡ってくる湖です。あるとき、池田さんは、その湖にいちど行ってみたい、といいだしました。ハード・スケジュールで疲れている池田さんのことですから、静養にはちょどいい、とそばの人が熱心にすすめたら、池田さんは笑ってこう答えたそうです。
「いや、わたしは静養に行きたいんじゃないよ。白鳥は群れがエサを食べているときも、一羽だけは必ず群れの外側に立って、仲間が安心していられるように、いつも気をくばってるんだと聞いた。・・・・わたしは、その見張り役の白鳥をちょっとだけ見ておきたいんだよ。」
池田さんの真実の声が、おそらくこのなかにあります。あなたが、あなた方が、青春の湖のなかを全力で生ききっていくとき、池田さんは一人、汚濁にみちた外の世界にむかって立ち、人知れずあなたをかばいながら、静かにあなたの成長と飛躍を見守っているのです。
以上
あとがきー池田さんと、一羽の白鳥の話 おわり。