「週刊読書人」4
【編集部】
本書の第一章には、池田青年室長が、(戦いの要諦は、信心から発する「法華経の兵法」に極まること)と認識し、(「黒田節」を舞い、みなの戦う気運を高めた。)とありますが、黒田節を舞って戦う気運を高めるのは、池田氏でなければ出来ないことかもしれません。
「情と理念の両方を持つ池田氏
べらんめぇで、逃げずに何でも答える」
【田原】
つまり、創価学会の人たちのお手本である池田氏の凄いところは、情と理念と両方持っているんですね。取材の途中に日大講堂で池田氏の演説を聞いたんですが、幹部は前の方に腰掛けていた。その時にいかにも″おばさん″タイプという感じの女性参議院議員のところへつかつかと歩いて来て、「やあ、元気だね」と、ポンと腰をたたいた。満場爆笑です。
その時に、ああそうか、と。池田氏は雲の上の存在で神様みたいなもので、もっと荘厳で厳かな演説かと思ったら、もう笑わせ笑わせという演説なんてすね。これが池田氏の凄いところかなと思いました。実は、池田氏が名誉会長になったとき、私は幹部の人々に、″池田さんはお辞めになった方がいいのではないか″と言った。するとある幹部が″池田先生が辞めたら、創価学会が解体する″と答えた。その意味がよくわかりました。
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「池田大作の軌跡」より
翌五日夜、事実上の出陣式となる大阪の地区部長会が、関西本部三階の広間で行われた。その様子は、小説『人間革命』第十巻にくわしい。勝利に向けて、不可能を可能にする信心の一念。その根本である強盛な祈り。戦いの要諦は、信心から発する「法華経の兵法」に極まること。そして「黒田節」を舞い、みなの戦う気運を高た……。
だが、実際にその場にいた人の実感は、小説の表現よりも鮮烈であった。京都の逢坂琴枝は、まず、室長の人間としてのスケールに圧倒されたという。「小説には、柔らかく、優しく書いてありますけど、そらもう恐ろしいような場面でした。当時、先生は二十八歳ですわ。それでもわてらには四十歳近くの貫禄に見えました。東京から来る他の幹部とは、まるで違う。入ってこられただけで空気が変わるんです」二十代の気迫と四十代の精悍が融合していた。
団結のための「黒田節」
大きく弧を描く扇子の動きが、ぴたり、ぴたりと決まる。「酒は飲め飲め 飲むならば 日の本一の この槍を……」池田室長が「黒田節」を舞う。大きな舞である。昭和三十一年。関西本部で、小さな拠点で、幾たびも「黒田節」が歌われ、鮮やかに舞った。
「次、あなた」室長の指名で、次々に前へ出て踊っていく。ユーモラスなしぐさに、げらげら笑っている人に限って、次の順番が回ってきた。日ごろはムッツリした幹部が、滑稽に踊ると、みんな手を叩いて大笑いした。普段は目立たない人が、意外に鮮やかに決め、株を上げた。
青年部の幹部が、ある時、聞いた。「先生、こんな黒田節ばかり踊ってて、勝てるんでっか?」諭すような口調の答えだった。「話したいことは山ほどあるよ。だけど、今は皆のバラバラの呼吸を整えることが大事だ。歌あり、涙あり、笑いあるところ人が集まる。心がひとつになる。団結のための黒田節だ」