SOKA薬王のBlog

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法華経の智慧1-1「哲学不在の時代」を超えて

1-1「哲学不在の時代」を超えて


自分が、社会が「どこへ」「何のために」進めばよいのか。それを教えてくれる知恵を求めている。


人間は「どこから」そして「どこへ」「何のために」――この問に答えることこそ、人間としての、一切の営みの出発点となるはずです。


また、現代を支配している気分を一口で言うと、それは「無力感」だと言った人もいる。ともあれ、だれもが、このままではいけないと思っている。しかし、政治も経済も環境問題も、すべて自分の手の届かないところで決定され、動かされている。自分一人が何かしたところで、大きな機構の前に何ができようか――。この「無力感」が、更に事態を悪化させる悪循環をもたらしているのです。


つまり、自分は「どこから来て」「どこへ行くのか」というアイデンティティー(自己を支える帰属意識)への欲求が、民族主義の根っこにあると考えられる。思考、哲学が空白状態であるからアイデンティティーを民族に求める。思想の`真空`には耐えられないからです。だからこそ宗教が大切なのですが、宗教がむしろ「分断」を助長しているのが実情ともなっている。


こういう一大転換期に、人類を結ぶ新しい統合の原理を教えたのが、釈尊の教えであった。そして、その精髄が法華経です。


法華経は「経の王」です。王とは、他を否定するのではなく、一切を生かしていく立場です。


法華経以外の哲学は、生命の法の「片端片端」すなわち部分観を説いたにすぎない。


法華経はそれらを統一し、きちんと位置づけ、生かしていく「根源の一法」を説いているのです。それが「法華経智慧」です。


知識は伝達できても、知恵は伝達できない。自分が体得するしかないのです。実はそこに、法華経が「師弟」という全人格的関係を強調する一つの理由もあるのです。