「若き友に贈る」1
「人生2」4/4
彼は 心空しき華やかなる日々
僕は 一切に必死になりながら
一歩一歩進む日々
*
懐疑
それは 近代精神に黎明を
もたらした第一歩であることを
知っているから 私は
心の振幅を否定しない
むしろ 懐疑の淘汰を経験してこそ
はじめて 人間としての
偉大な確信に立てるであろうと
いたいのだ
*
愚直な人生でいいと思う
しかし 愚劣は嫌いだ
炎熱に大樹が黙々と天空に聳ゆる
あの愚直な姿勢も忘れまい
*
私は いわゆる抽象化の世界に
自己陶酔したくない
抽象という概念のスポイルのもとでは
必ず それが真実であったはずの
生きた現実という財宝が
捨象されているからだ
*
精神集中できる
信念の人にはなりたいが
頑な人間になりたくない
そこには 最早 新しい感覚の
風が入らなくなるからだ