SOKA薬王のBlog

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太田昭宏「真っ向勝負」5


ライフストーリー3「政治」


「福祉を研究した新米記者」

 師走の北風が銀座通りを吹き抜け、コートの襟やマフラーに顔をうずめるようにして会社員や買い物客が道を急いでいた。昭和四十七年十二月。東京の有楽町駅前。「公明新聞をお読みください!」メガホンを手にした太田が少しダミ声だが、よく通る声で呼びかけ、新聞を配っていた。


手に取ってくれる人もいれば、あからさまに好奇の視線を注ぐ人もいた。「がんぱってください」とねぎらいの声をかけられると、無に胸が温かくなった。太田は、東日工場から配属がかわり、機関紙局の政治部記者になったぱかりだった。
 

この年の十二月十日に行われた第三十三回衆議院選挙は公明党にとって、厳しい結果に終わってしまった。四十七議席から二十九議席に転落し、野党第三党に甘んじることになった。


しかし失に沈んでいる暇はない。「今こそ街に出よう!」「有権者に直接、訴えようじゃないか」。公明の若手記者が中となって街頭に立ち、公明党の政策を主張することにしたのである。党勢回復へ、戦いの火ぶたは切られた。