「若き友に贈る」27
平和 1/1
人は ともあれ
僕は生涯
民衆運動の先駆を行く
*
私は 漠然という浪費をしたくない
大衆が実際に感じているものを
登場させるために舞踏する
*
平和を 私は熱望する
なのに 人々は我らを誹る
それでよい−−−
その溜め息を
笑いにかえて進むところに
真実の平和運動が成就されるからだ
*
純粋にして真剣に生きぬく
庶民の姿ほど美しいものはない
その庶民を侮蔑する者に
私は 激しく抗議する
*
大声を張りあげるのもよい
沈黙するもよい
しかし 瞬時たりとも
庶民感情に対しては
誰よりも敏感でありたい
*
君よ! 忍辱の衣を
着るときには着給え
しかし暗澹たる地獄の戦列には
猛然と平和奪還のために
挑戦してくれ給え
*
私の反戦運動 平和運動は
美名の国のためでもなく
一団体のためでもなく
今 自分自身が 安穏無事であるという
償いのためといってよい
*
社会の変貌は恐れない
しかし 自己の正義への
不動の信念の変貌を恐れながら
激動しゆく社会に僕は突き進む
*
僕は 絶対に銃を取らない
しかし 哲理の剣を取る
銃は人を殺戮するが
正義の剣は
人間の不幸の根を切れるからだ
*
僕は 孤独と憂鬱を開いて
民衆のなかで 民衆の言葉で
花を咲かせゆく
*
君達よ
君達は君達の平和の戦線を守り給え
僕は 僕の戦野を死守して
必ず安堵せしむるから
心配しないでくれと 叫ぶのだ
*
模擬と虚栄の有名人となるよりも
天空漫遊の一庶民として
誠実に行きぬいた方が
いかに人間の価値として
素晴らしいかを知ったから
私は些かも恐れるものはない