他人の幸せ
野口晴哉 「風声明語」より
自分が至らないから、まだ人を救えないとか、教えられないとかいう人があるが、至った人間など昔から一人もいない。
ただ至らないままに人を導き、教え、救っていると、だんだん至る道に近づいてゆく。
他人の幸せを羨んでいるうちは、その人は幸せではない。
他人の幸せを喜ぶようになると、その人も幸せになる。
世界の幸いを自分の幸いと感ぜられるようになって、
人間が世界と一つの息に生きていることになる。
三人の幸せを喜ぶものより、百人の幸せを喜べる人は大きい。
しかし世界の全部の幸せを、自分の幸せと感ずることのできる人は、
どんなところにいる一人の不幸せな人にも胸を痛めるものだ。
世界の幸せを祈りつつ 身近にいるあの人のことを想う 秋の夜