「若き友に贈る」26
指導者 1/1
滝のように 激しく
滝のように 弛まず
滝のように 恐れず
滝のように 朗らかに
滝のように 堂々と
男は 王者の風格を持て
*
指導者に残された道は 唯一つ
民衆を 絶対に
犠牲にしないということである
*
君は 光彩陸離たる
表舞台で踊る
僕は 辛労多端な
舞台の陰で走る
*
私は 装いをこらしたくない
庶民の健全なる意見を信ずるのは
そこに装いがないからだ
僕は 無作の指導者でありたい
*
君の確信を込めた言葉に
人々は いつの日か
必ず救われる思いで
語りあうにちがいない
*
優柔不断を 包容と錯覚してはならぬ
卓越した決断力が
そこにあってこそ
独自の光輝を発揮するからだ
*
的確な判断力と
深い精神の弾力性を持った者こそが
真の新聞人だ
*
旭日の 太陽の勢いというものを
私は あまり欲しないが―――
しかし 潮の満つる如く
自然にたゆまず
民衆の勢力が
長期的に増すことを
絶大に欲する
指導者に なるのだ
*
人を穢すことは いと易しいが
人を育てるのはむずかしい
故に 私は人の人格を
みとめることを
第一歩として進めるのだ
*
軽薄な表面的な批判など
問題ではない
一番大切なことは
その人の根本に
いかなる感動を与えたかにあるのだ
*
君の 後輩に信頼された
徹夜の作業を見ていると
僕は 涙が溢れる
利害を超越したものの
確固たる 青年の美といいたい