SOKA薬王のBlog

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池田大作氏の真実  五島 勉

「余白のないノート」


「ウエー! こりやどういうことだ?」そのノート・ブックを初めてひらいたとき、原田稔君はまずアキレかえってしまった。原田君ほいま二十八才。東大法学部卒創価学会事務総局員。エリートがひしめく学会本部のなかでも、とくに「カミソリのような頭脳のもち主」といわれている。
 
そのシャープさと若い行動力をみこまれて、二十五才のとき、「庶務室勤務」にバッテキされた。ふつうの会社でいえば「秘書室勤務」だ。つまり池田会長の最も身近かに、いつも影のようにしたがって、連絡のいっさいとスケジュール調整などを担当する第一側近。
 
だから初勤務の朝に、先輩からいろんな重要書類をひきついだ。そのなかに会長のスケジュール表がまじっていた。「ウエー!」という異様なさけぴは、それに目を通したとき、原田君が思わず発した驚嘆、ないし恐嘆の声だったのである。
 
しかし、彼がアキレかえったのも無理はなかった。それはスケジュール表というより、「メチャクチャ表」とでもいうべきものだったからだ。なにしろ、どんな多忙な大スターのスケジュールにも、睡眠時間だけは必らずとってあるはずだが、それがほとんどない。真夜中の二時ごろから明け方にかけて、「人間革命の執筆」とか、「だれそれの本を勉強する時間」とかいう予定が組みこま
れている。池田氏自身のペンで、「午前三時半、どこそこの海外支部と電話で話す約束。むこうはちょうどお昼だから」なんて臨時予定も書き加えられている。
 
真夜中でさえそうだから、日中はいわずもがな。朝から晩まで勤行・指導、幹部会や座談会への出席、来客との接見、講演、インタビュー、論文執筆、報告をきく時間、といった項目がびっしりだ。その間隔が、いちばん長いあいだも三十秒とはあいていない。
 
毎朝、本部へ出るまでに家庭ですごす時間と、昼夜兼用の食事をとる時間だけが、会長のわずかなプライベート・タイムだが、それさえも、「食事は十五分。あとはこれこれの件につき思索」というふうに、あらかじめ自分できめてある。
 
こんな状態が、以前からのスケジュール表をひっくりかえしてみると、もう一年も三年も、いや十年もつづいているのだ。そのうえ、このおそるべき時間割をぬうようにして、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、世界中の本部や支部をまわる指導旅行の日程が重なってくる。(これじゃ先生だってたまらない。オレのほうも大変だゾ)と、原田君は気が遠くなりそうになった。(この極限スケジュールをこなせる人がいるとすれば、それはもう人間じゃない。…先生はやっばり超人だとしか考えられないなあ)
 
しかし、実はそうではなかった。池田氏は超人でもスーパーマンでもなく、つまりは一人の人間だった。しかも最も人間的な人間だった。いちばん身近かな第一秘書(といト肩書きを学会では使わないが)の立場をつうじて、原田君はそれをやがてハッキリ理解していくことになるのである。